相続法改正基礎知識①配偶者居住権

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相続法改正基礎知識①配偶者居住権

■配偶者居住権とは?
配偶者居住権とは、死亡した人(被相続人)の所有する建物に住んでいた配偶者に、引き続きそこに住み続けることが認められるという権利です。民法上は、改正1028条に規定されています。
居住権はあくまでも居住する権利ですので、所有権とは異なり、建物を売却するなどして処分したり、人に賃貸して収益を得たりすることまでは認められません。
配偶者以外の人(Aさん)が建物を相続し、配偶者(Bさん)がこの居住権を得た場合、Aさんは、Bさんをこの建物に居住させるという負担つきで所有権を得ることになります。
この制度は相続法改正により新設されたものの一つで、2020年4月1日から施行されます。相続は被相続人の死亡により開始する(民法882条)とされていることから、2020年4月1日以降に死亡した人の相続であれば、この制度が適用されることになります。

■配偶者短期居住権とは?
被相続人が死亡した時点で、その配偶者が被相続人の所有する建物に無償で居住していた場合、配偶者は最低6か月間の居住権を得ます(配偶者短期居住権)。
具体的には、購入した建物に夫婦で暮らしており、後に夫婦のうち建物を所有していた人が亡くなったような場合がこれにあたります。

■6か月以上の居住権を得るには?
短期居住権により認められる6か月を超えて居住するためには、遺産分割(共同相続人の間での協議による分配)や遺贈(遺言の効力による相続)等によって配偶者居住権を取得する必要があります。

■従来との変化
従来の民法では、配偶者が建物を相続し、所有権を取得して住み続けるという方法が一般的でした。それが難しければ、建物を相続した人から借りて住むという方法がありました。
しかし、建物を相続する方法による場合には、配偶者の法定相続分(法律上認められた取り分)のほとんどが建物所有権の財産的価値で埋まってしまい、これにより生活に必要な預貯金債権等が取得しにくくなるという不都合がありました。また、他の相続人から借りる場合、相手がそうした申し出に応じてくれるとは限らないという問題がありました。
配偶者居住権が認められたことにより、配偶者はその生活に必要な居住する権利のみを取得するという選択をすることが可能になりました。

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